気候の変化や気象というのは、人間の生命活動に大きな影響を及ぼします。
もちろんそれは、人間の本能に近いところで感じるものでもあるのですが、その気候の影響が一番出やすいのは精神、つまり脳だと言われているのです。
雨が降ることで心が沈んでしまうのは、ある意味仕方のないことです。
まず、雨の日は、日常生活やビジネス面で普段より面倒なことがたくさん増えてしまいます。
交通機関の乱れを考えて、一本早い電車に間に合うように早起きをしなければいけないでしょうし、男性はもちろん女性はメイクも念入りになりますから仕事にいくまでの準備にも時間がかかります。
外に出れば傘をさし、電車の中では傘が邪魔、やっとの思いで会社に着いた時にはなんとなく身体が湿っていて、疲れているなど雨の日はさまざまな出来事が関連していきます。
雨の日はうつ病の患者さんにとって辛い。
そうわかった上で、では実際どうすればいいのか考えてみましょう。
うつ病の患者さんの精神運動症状に「制止」というものがあります。
これは、何かをしなければいけないとき、あるいは何かをしようとするとき、その行動にブレーキが掛かってしまう状態を言うのです。
この制止は、不思議なことに動こうとすればするほどその強度が増していきます。
そう、外出しよう、もしくは外出しなければと思うときほど、外出に伴ういろいろな動作に制止が働き、また、外出するという行為そのものにも制止が働くとこがあるのです。
制止を振り払って外出困難を克服したら、それは大きな自信になります。
出かけようと思うほど強くなる制止も、その強さには波があり、中にはその力が穏やかな時があり、比較的外出しやすいこともあるのです。
そんなとき、その機に乗じて外出ができたなら、きっとそれはうつ病患者さんの自信に繋がります。
できなかったことができるようになった、もしくはうつ病を患う前にできていたことがまたできるようになったという事実は、実績としてうつ病患者さんの心に積み重ねられます。
そこには大きな治療効果があるのです。