Roppongi Clinic 六本木クリニック

心療内科・精神科・メンタルクリニック

心の病気は早期の治療が大切です。

患者様の症状に合わせて適切な治療・サポートを行います。

心療内科・精神科は、こころの症状を治療しますが、同時に「からだの症状を訴える患者様も多く見受けられます。ストレスや精神疾患が由来の身体的な痛みや不調がある場合、心身両面から診て治療を行う「漢方医学的治療」は、効果が見られることが多くあります。今回は、心療内科の観点から、漢方のメリットについてお話します。



うつ病や一般的な精神疾患への治療として、抗うつ薬や精神安定剤が処方されますが、症状が軽度の場合、心理療法と共に漢方医療を併用することがあります。漢方薬は種々の生薬の組み合わせから成り立っており、精神を落ち着かせる生薬が組み込まれているものもあります。中国では、昔から不眠や不安が強い時や抑うつ状態の時に用いられていました。

心身の不調に注目し、身体の不調を緩和させる漢方を服用すると、精神面の症状の改善にもつながります。



精神科で処方される漢方の代表例に以下のものが挙げられます。

 漢方名特徴
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)不安感や緊張感・イライラ・抑うつ・不眠・神経性の動悸等の症状に効果あり。特に不安症状で喉の詰まったような感じ、喉が圧迫されるような感じがある時によく使うためパニック障害の治療に使い易い。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)昔から睡眠薬として使われ精神を落ち着かせ、安らかに眠りを誘う働きがある。思い悩んで眠れないタイプの不眠症に適しており一日数回服用する。
加味逍遙散(かみしょうようさん)冷え・のぼせ・生理不順・更年期障害等に用い、自律神経失調に伴う不安・不眠・イライラ等の症状と肩こり・頭痛・頭重・上半身の熱感・下半身の冷え等の症状を和らげる。女性の精神神経症状に効果があり。
抑肝散(ヨクカンサン)神経の高ぶりを鎮める薬で、イライラ感や不眠等のメンタル症状の他、赤ちゃんの夜なき・ひきつけ等に使われる。体への負担が少ないため、最近は高齢者のイライラや不安感等にも使用され、全年齢層に効果的。


漢方薬を内服するだけでなく、生活習慣や食習慣の改善が大切です。ですので、そのことについてもアドバイスいたします。健康的な生活を保つことが、心身の安定につながり、漢方薬の効果をきちんと出すための土台ともなります。以下のような自覚症状のある方は漢方処方に向いているとされています。

  • 自覚症状を漢方で治療したいと考えている方
  • 検査で異常がないのに自覚症状が続く方
  • 月経に伴う不調をお持ちの方(月経困難症、PMS、更年期障害など)
  • 天気の変化で不調を生じる方
  • 胃腸が弱く困っている方(過敏性腸症候群など)
  • 不眠はあるが睡眠薬には抵抗のある方
  • 向精神薬に頼りたくない方


メリット

  • 向精神薬が強すぎるときの代理や調整として服用できる
  • 向精神薬に比べて副作用のリスクが少ない
  • 依存性がなく症状改善時に薬の減量・中止を行いやすい

デメリット

  • 向精神薬に比べて即効性がない
  • 味やにおいが独特で飲みにくいことがある


以下では、漢方治療における具体例を紹介します。

「神経症」では、社会的な環境や、抱えている心理的な影響が原因で発症します。不安やイライラ、恐怖、葛藤、苦悩などが些細なことがきっかけで現れるのが特徴です。 健康な人ではこのような症状は一過性ですが、これらが続く場合には受診を検討しましょう。「神経症」には、心を落ち着かせる漢方薬が有効です。

精神病や認知症、てんかんなどの中核的な症状には漢方薬の効果は見込めませんが、それ以外の「神経症」や「心身症」には漢方薬と心理療法で改善・完治が見込まれます。心身症とはストレスが原因で身体に痛みや不調を感じる疾患のことです。

生理周期と連動して「イライラする」、「抑うつ的になる」、「過食」などさまざまな症状が出ることがあります。働く女性にとっては、そのような症状があっても仕事をせざるを得ない環境も考えられますし、なかなか職場で理解されないケースもあります。以前より働く女性が増えていることもあり、PMSについて相談される患者さんの中には若い方も多く、症状の個人差が大きいので状態をしっかりと把握し、治療を行うことが大切だと感じています。治療においては、漢方薬を処方することもあります。



当院では、お薬に頼りたくない方、向精神薬が体質に合わない方、患者さまの症状に応じて漢方治療を行っております。当てはまる方は診察時にお気軽にお申し付けください。医師が患者さまに耳を傾けた上で適切と判断した治療を行います。他にも心理カウンセリングを通して患者さまの心身に寄り添った治療を行っております。